そこまで気を使うか?

 我らがドラゴンズの応援歌が停止になったとの報道を読み、う〜んと考えた。確かに「お前呼ばわりは選手に失礼だ。」という意見はわかる。今はやりのポリティカルコレクトネスなのだろう。上から目線で、選手に失礼だ、との見解だろうか。

 しかし、である。「お前」という言葉がいつだって悪いとは言えないのではないだろうか。相手を指し示す言葉は日本語にはいくつかある。「あなた」、「君」、「あんた」、「お前」、「自分(主に関西地方)」、などなど。そのどれもが、相手との人間関係や場面によって使い分けられている。フォーマルな場合では、日本語では相手の社会的立場、「先生」、「社長」、「部長」、などの役職で呼ぶし、商売なら、「お客様」である。英語ではyouの一言だが、昔なら、くだけた言い方をする場合のthouがあった。他のヨーロッパ言語なら、フランス語のvousとtuのように丁寧な「あなた」とくだけた「あなた」がある。だが、くだけた場面なら「お前」が使われ、心理的な近さを反映することもある。必ずしもそこに侮蔑的な意味があるとは思えない。

 さて、スポーツの応援である。血圧が上がって、興奮している場面での応援だ。どうしたって、言葉は荒くなるのが普通のような気がする。そこで「お前が打たなきゃ、誰が打つ」と歌うのは割と自然な気がするし、やめなければならないほどだろうか。差別的表現、あるいは侮蔑的表現と言えるのだろうか。与田監督は「お前」の代わりに選手の名前を入れたらとのコメントらしいが、では、「大島、打たなきゃ誰が打つ」と呼び捨てでよろしいのだろうか、という議論が次に出てもおかしくない。「大島さんが打たなきゃ誰が打つ」と丁寧度が上がると、迫力も無くなるような。。。

 世の中、言葉については話題が尽きることはないようである。