頭をひねる接続詞

 ある授業ではThe Japan Timesの記事やThe Economistなどの記事を読ませるものがある。教科書の英語がわかりやすく編集されていて、いわば殺菌済みの安全食品だとすると、実際に使われている新聞や雑誌の英語はなまもので、時にはお腹の代わりに頭を痛めてしまう。まあ、それだけ様々な要素が入り込んでいる。時には、新聞記事には、語順の間違いもあったりして、メディアの表現は「ただしい」と思いこんでいると足下をすくわれることもある。
 さて、そのような「なまもの」の英語にはbeforeという接続詞が文中でよく出てくる。もちろんA before Bの意味は「Bの前にA」であり、複雑ではないのだが、このAとBの出来事が入り、なおかつ、Aの記述が長くあった後に、before Bと入ると、「え、その前にBがあるの?」と、出来事の順番に整理がつかない。なかなかやっかいなのである。
 A before BはAが先に起こり、次にBが起きるのである。したがって、学生たちには、「Aが起こり、そしてBが起きたと考えなさい」と教えるようにしたら、自分でもすんなりと意味が入るようになってきた。つまりA before B = A then B という公式を作ればいいわけだ。
 なまものには、なまものの対処法を考えていく方が実践的な教育ができるのかもしれない。