眞子様の英語スピーチに思う

 秋篠宮眞子様は、ICUの後輩にあたる。というと、なんだか上から目線のような言い方で、よろしく無いが、数少ない自慢話になるので、ご容赦願いたい(他に自慢話といえば、学生時代にオノ・ヨーコの姪っ子さん(当時ICUの学生)と一緒に飲みに行ったことくらい)。さて、ある方から、別のICUの卒業生が眞子様の英語の発音をきいて、本当にICUを出たのかと訝っていたという話を聞いたことがある。私自身は英語が上手いわけでは無いので、他人のことを言えないが、先日テレビで眞子様の英語のスピーチをちょっと聞くことができた。

 たしかに、アメリカ人発音では無い。アメリカ英語に慣れ親しんでいる人からすれば、いい発音では無いだろう。もしかするとアメリカで教育を受けた皇后陛下であれば、バリバリのアメリカ発音かもしれない。トランプ大統領天皇皇后の英語力に感嘆したというニュースもあったので、合点が行く。だが、眞子様の発音はなまったアメリカ英語ではない(苦笑)。

 どうも、日本人は、こと、外国語となると、発音信仰から抜け出せない気がする。特に英語ではpost volalicのrと呼ばれる、r訛りがお好きなようである。carの発音を「か〜r」とrを効かせた方が格好良く響くと思うようだ。だが、このr訛りはアメリカではプラスに評価されるが、イギリスではマイナスである。イギリスでアメリカ英語のようなr訛りを発音したら、南西部の田舎の出身と思われるだろう。事実、アメリカ英語の母体は、イギリスの南西部の英語であり、シェークスピア時代のr訛りが残っているとも言える。発音だけでなく、語彙の面でもfallを秋として用いるアメリカ英語の用法はシェークスピア時代のイギリス英語であって、イギリスではとうの昔に亡くなっている。

 つまり、眞子様の発音はアメリカ英語ではないが、イギリス英語のように捉えていけば、むしろ格式が高いともとれるし、そもそも日本の皇族がアメリカ英語に合わせる必要もない。今や英語を話す人口の中で、ネイティブの比率は15%程度。ノンネイティブの方が主流だ。それでもネイティブに合わせるのであれば、皇室と王族の伝統ある繋がりを考えれば、皇族英語の基本はイギリス英語なんじゃないかと思う。「ふぁー」と言われて、それがfireのことだったなんて、アメリカ英語にだけ慣れ親しんでいる我々にはなかなかわからないが、なんでもアメリカが中心ということを考えるのは、やめてもいいんじゃないだろうか。だって、本家のアメリカでも英語ではなく、スペイン語が話者人口ナンバーワンになっているご時世なんだから。