三つの坂

 結婚式のスピーチの定番というものがある。きっと、部下の結婚式に呼ばれたお父さんたちが急いで、ネットを調べたり、本屋で、スピーチの例文を調べると、定番のように「3つの袋を大事にしなさい」なんて見つけるはずだ。胃袋、給料袋、お袋っていうのがオチだけけれど、すけべなおじさんになると、もう一つ袋を付け足してしまう(笑)。

 三つの坂も定番で、登り坂、下り坂、まさか、だ。人生、結婚していてもいなくても、この三つの坂は経験するはずだ。登り坂は一人でもいいのだが、下り坂とまさかだけはできれば誰かと共有したほうが乗り越えられる。そんなことを思うことが先週の初めに起きた。家人が急に体調を崩してしまったのだ。ことなきを得たが、まさに、まさか、だった。本当に人生には予期せぬことが起きる。大切なのは、そんなときにどう対応するかなんだろう。冷静でいろとは言わない。ただ、受け止めていくことで、次のことが見えるんじゃないか、出来事には、何か意味があるんじゃないか、そんなことを何度も考える1週間だった。