ことばと国家

 学生時代に読んだ田中克彦先生の『ことばと国家』(岩波新書)を改めて電子書籍で読み直してみた。読んだ当時の記憶はほとんどなく、改めて読んでみると、授業の中で話をしている内容と重なるところも多く、染み渡るように内容が入っていく。もう一度、「確かに!」と改めて勉強になったのは、「母語」と「母国語」の違いだ。特に意識せずに同意として使う2語なのだが、確かに明らかな差がある。改めて、言葉は民族であり、民族は言葉なのだと痛感する。内容はここには書かないが、この夏に旧約聖書コーラン新約聖書についての本を立て続けに読んだせいなのか、ユダヤ人のことも理解できた上でのイディッシュの話は特に興味深いものがある。

 言葉に興味がある方々には是非ご一読いただきたい良書である。