言葉の男女差

 オリンピック組織委員会のトップの発言が物議を醸しているが、男女のコミュニケーションの問題は洋の東西を問わない。ただ、問題は彼が公人としての立場で公の場でそのような発言をしたところに問題がある。ただ、内面の感情では彼に限らず、誰でも男女のコミュニケーションの問題でトラブルを経験した人は多いはずだ。私も我が家では妻に「あなたはもっとはっきり喋りなさい。何をいっているのか聞き取れない!」としょっちゅう注意されるのだが…(苦笑)

 男女の言語的なストラテジーは異なる。男性は直接的にテーマに入りたがり、結論を求めたがる。女性は間接的に断言を避ける傾向がある。これは社会言語学の講義をするときに話す、一種のステレオタイプ的なストラテジーの違いである。もちろん、個人差もあるし、立場によってそれは異なる。

 まず、私的な場合ではどうだろうか。女性はその場に合わせて調和していくことが多いが、男性は割と自分の意見を勝手に言う。女性同士の会では、「そうそう、そんなんだよね」という発言が多く、男性の場合は、人の話は関係なく「俺は、こうなんだよね」と自分語りにならないだろうか。

 ところが不思議なことに、日本の仕事関係となると、むしろ男性が周りに合わせていき発言を控える。その一方で、女性が物おじせずに意見を言う場合が多いように思う。私の仕事上の経験であれば、そうだ。その時の意見によって改めて改善点が見つかることもあれば、確認点が見つかることもあり、むしろありがたい。確かに会議の時間は長くなるが、むしろ建設的な結論になるように思う。

 男女の言語差については社会言語学のテーマとしても研究されている。デボラ・タネンというアメリカの社会言語学者の本をいくつかお読みになると面白い発見ができるはずだ。