ユーザーという言葉の違和感

 最近のネットニュースや広告を見ていると、あまりにも安直に「ユーザー」という言葉を使っているのではないかと思う。どうしてカタカナにする必要があるのだろうか。レストランの顧客にもユーザーなんて言う言葉を使っているものもあるが、どうしても横文字にしたければ、カスタマーが正しいし、乗り物についてならパッセンジャーだ。中には視聴者(audience, viewer)とすべきでもユーザーと呼ぶ。あまりにも安直にユーザーという言葉を使いすぎだ。

 上記のものも、顧客、ファン、視聴者、利用者、客と使えばいいはずなのだが、全て同じユーザーという語を使うのは語彙を使いこなすことができない語彙力の貧困さから来るのだろうか。なんでも「可愛い」「キモい」「無理」とみじかい一語で済ませる発想と重なる気がする。

 言語は変化する。それは言語学者として当たり前の認識だが、ただのおじさんとしては、やはりため息をつきたくなるのである。最近は新聞でも安直なユーザーという語が使われ始めているように思う。なんとか漢字表現で置き換えられないものだろうか。