大人の自由研究

 小中学生の時の夏休みの悩みは自由研究だった。絵を描いたり、工作をしたりとなんとかやり過ごしたし、中学の時にはパスカルについて調べるというやっつけ仕事もした(笑)。

 だが、大人になって自由に研究したいと思うことは増えた。まあ、研究を仕事にしているせいもあるが(細君は自然科学の研究はいつだって「すごいよね〜」というのだが人文社会系については認めず自分の夫が一応の研究者だと主張しても「ふ〜ん」と軽く流してしまう(苦笑))、疑問に思うことは常に増えているし、研究して極めたいと思うことは山ほどある。

 今日はそのうちの一つ。カラス観察である。我が家の周囲はこの1年くらいカラスが急増して、朝から鳴き声はうるさいし、我が家の屋根を突く音がうるさくて朝の読書の邪魔になる。彼らを観察していると、屋根から屋根、電信柱から電信柱へと移り、何か自分の縄張りを主張しつつ、餌になりそうなものを見つけようと観察している気がする。

 そもそもカラスは一体どこで寝るのだろうか?そして、ゴミを漁るのは見るのだが、我が家の周囲はゴミ対策がかなりされていて、ゴミ散乱はほとんど見ない。いったい何を食べているのだろうか。ときにカラスが電信柱を嘴でコツンコツンと突いているのだが、あれは何を意味するのだろうか。疑問は沸々と湧いてくる。細君が我が家の砂だけの花壇でカラスが戯れていたのを目撃していたというが、あれは体温を下げるためにしていたことなのだろうか。

 特に気になる1羽がいる。我が家の目の前の電信柱を縄張りとしているらしいカラスだ。細身で、羽が綺麗ではなくささくれているように思える。若いのか、病気なのか。電信柱のケーブルを突いたり、戯れたり。一体なのをしているのだろうと観察してしまうとあっという間に5分は過ぎてしまう。これをカメラで撮影して、毎日ノートにつければ、まさに自由研究ではないか。研究に結果がなくてもいい。観察して、変化を記録して、そこから考察をすればいいのだ。これは夏休みに限らず長く続けられるかもしれない。

 このほか、私の自由研究の課題は、効果的な包丁の研ぎ方、美味しい浅漬けの作り方などがある。どれも奥深い匂いがして、おいそれとは手が付けられない。