品格ある人

 昨日は授業の一環として地元のテレビ局でアナウンサーをやっている方に学生対象の講演会をしていただいた。アナウンサーというと華やいだイメージがあるのだが、そのかたは私に近い年齢で、落ち着いた雰囲気を醸しだす。

 この方にお願いした理由は学生に自分と向き合うことのヒントになればと思ったからだ。この方は自分の病を公表して、自ら立ち向かうことで同じ環境の人々を励まし、またそれによって自らの力に変えている、そんな気がしたのだ。

 公演は自らの学生時代の失敗談、どうしてアナウンサーを目指したのか、アナウンサーになってから考えたこと、そして病のことなど、自分と正直に向き合ってきたことが自然な言葉で語られた。学生たちもそれに敏感に反応して、真剣な眼差しを送っていたし、後からは多くの質問が寄せられた。

 決しておごり高ぶらず、自分にできること、できないこと、自分はどうしたいのかということを自分の経験談から伝える様子には品格を感じた。人の品格とは見た目ではなく、偉そうな物の言い方ではない。自然に自分の言葉で表現して、周囲の人々を励ましたり、感銘させたりすることなのだと、改めて学んだ時間であった。