「…が9割」の不思議

 本の広告を見ていたら、ある人が「話し方が9割」という内容と「聞き方が9割」という内容の本を出している。違う人ではなく、同じ人だ。その人に聞きたい。「話しかたと聞き方と、どっちが重要なのか」と。

 巷には「...が9割」というタイトルや、「...の力」というタイトルが蔓延っているように思う。これなら「力が9割」という本を書くとベストセラーになりそうだ。あるいは「9割力」でもいいかもしれない。キャッチーなタイトルは売るために必要なのだが、果たし、そこに踊らされていいのだろうか。

 ちなみに、話し方とかコミュニケーションの本の多くで、メラビアンの法則が誤用されている気がする。要するに非言語情報の方がコミュニケーションでは意味があるので、見た目とか、話し方を重視せよということなのだが、この知見を出したメラビアン自身「法則」とも言っていなければ、特定の実験下で得られた結果であり、実際のコミュニケーションでは応用できない旨を示している。それなのに、「メラビアンの法則」と一人歩きしている。まず持って、我々には「批判的に考える力」が必要であり「批判的思考が9割」と言えるんじゃないだろうか。