納得できません、について考える

 最近、事件に関するニュースを読むと、逮捕された容疑者が「納得できません」と述べているとの報道が目立つ。誰だって、逮捕されて拘束されたら納得できるはずはない。そもそも自分で悪いことをしたという自覚を持てる人ならば、逮捕されて当然と思うか、悪いことをする前に自重するはずだ。「納得できません」と言う人は自分の価値観が全てであり、それに背くことや人がいるから危害を及ぼしても、正当化されると考えるのではないだろうか。

 世の中には犯罪行為とは関係なく、「納得できない」ことは日常茶飯事だ。だが、大人になるとはそのような不条理を受け止めたり、受け流していくことができるようになることであろう。昔から不条理に悩むことが多いからこそ、文学ではそれがモチーフになるし、共感もされる。「自分だけが、なぜこんな目に」、と思いながらも、「それもまた運命か」とブラックボックスの中に押し込めることで自分に納得をさせること、これもまた生きていくためにスキルではないだろうか。