子供に帰る

 先日、ドイツ語の先輩教員と話をしていたところ、学習者や子供が読みやすいようにリライトされた英語版のシャーロックホームズを読んでいるとの話を伺った。確かに教材として、段階ごとに書き換えられた物語は数多くあり、一冊でも読み終えれば達成感を得られるし、何よりも英語に触れていく中で学習できる効果は大きい。

 さて、翻って考えてみると、入門の学習テキストを色々やってみて、ドイツ語をやっているけれど、やはり一冊本を読むというのもいい勉強法ではなかろうか。手元にあるドイツ語の読み物といえば、12年前に購入したドイツ語版のMacWorldである。なるほど、内容を知っているだけに、わかりやすい。これもこれでいいのだが、英語の表現がかなり入っている分野だし、前提知識もあるので「なんとなく」わかってしまう。これはこれでいいのだが、もっと新しいことに挑まなければならない。

 そこで、自分もと、Amazon電子書籍でドイツ語の子供むけの本を調べて、6歳までが適正年齢という童話を購入した。なんとたった4ページの本だが!(驚き)、値段はそこそこだ(笑)。子供用に、段落分けが細かく、1日一段落でいいようにもなっている。早速最初の段落を辞書片手に読み始めた。Es war eimal と始まる。esは英語のitで、中性の単数代名詞。warはbe動詞に相当するseinの過去形、eimalはonceの意味だ。そうすると、It was onceと英語にできるが、物語の始まりというものはどの言語でもよく似ている。「昔々、あるところに...がいました」だ。そうなると、これはThere was once... 英語にするなら、Once upon a time, there was/were...に相当すると推理が働く。案の定、その後には、eine kleine Maus names Miaと続く、a little mouse named Miaだ。ふむふむ。少しばかりわかる。

 たった1行なのだが、嬉しい。こういう積み重ねが外国語学習の喜びなのだと、今更ながらに痛感する。英語の文が初めてわかった時の喜びが蘇ってきた。