アイドルになってみたい!

 TVの番組で、パティシエのシェフをアイドルのように追いかける人のことが取材されていた。名古屋で有名なパティシエが作るお菓子だけではなく、その行動に魅了されているらしい。追いかけられる方も熟年なら、追いかける方も熟年だ。勝手に写真を撮って、それを勝手にTシャツにして着ていたり(笑)、勝手にグッズを作っているほどの追いかけである。

 今時はk-popのアイドルにハマる人たちも多いし、ある意味のオタク文化を形成している。我々の頃はオタクというとアングラで日の目を見ないネガティブなイメージだったが、今はオタク用語の辞典が売れている時代だ(名古屋発)。教えている学生でも、推しの話はよく聞く。

 翻ってみると、歌手や俳優、お笑いタレント、シェフは追いかけの対象となるが、大学教授が推しの対象となっているという話は聞かない(笑)。そもそも推しどころか、暗い、怖い、変と避けられ、引きの対象だ(苦笑)。できれば、私だって、アイドルになって、授業のたびに最前列に座る学生に、顔写真の印刷されたうちわで迎え入れてもらいたい(笑)。私の手書きで添削された課題を、「一生に額に入れて飾ります」と、言われてみたい(笑)。教室の外に出待ちで、サインくださいと言われてみたい(笑)。

 だが、現実は、教室で一番遠くの席から学生は座り、うちわの代わりにこっちに近寄るなと、目で合図され、返却された課題は「何が赤字で書いてあるか、わかんないんで、もって丁寧に書いてください」と注意され、教室の外では、「次の授業の準備があるんで、早く授業終わって、出てくださいよ」と次の授業に出席する学生から無言のメッセージを受ける。

 アイドルは遠い夢物語のようだ。