将来の人の移動

 新型コロナウィルスの影響は私の周囲でも影響が出始めている。まずは、私が国際理事を務める国際学会の大会が今年は中止になった。7月に中国で開催予定だったのだが、現状では開催ができないと現地から報告があり、とはいえ、今から代替え地というわけにもいかず、やむなく中止となった。

 厚生労働省は会議など、できるものはネットで開催を呼びかけるほどになっているが、もしかすると学内でも同じような動きは出てくるのかもしれない。

 さて、国際学会の中止を受けて、海外の研究者たちから、現在のように毎年国際学会を開くべきかという疑問の声が上がり始めた。これは単にウィルスの問題ではなくて、昨今の異常気象現象を引き起こす一因でもある飛行機利用を少しは抑えて、エコロジカルで持続可能な行動をすべきではないかというのだ。会議はオンラインでもできるだろうし、隔年でもいいのではないかと。

 まだまだこういう議論は緒についたばかりだが、考えてみれば、今は、LCCに代表されるように安価で、また高頻度で飛行機が発着している。ジェット燃料を燃やして二酸化炭素を排出するだけではなく、飛行機は着陸時に必要に応じて、空気中に燃料を放出することもあり、空気の汚染の一因になっていのは間違いない。

 確かに一人が飛行機利用を削減しても直接的な効果は薄いかもしれない。しかし、それが数百、数千にも及ぶと変わるのではないか。

 ネットの時代だから、海外に行く必要性がないと、現代の日本の若者は海外に出たがらないとよく聞く。確かに現地にいかなければわからないことがあるので、実際に足を運ぶことは大切だが、もしかすると、「いかなくてもいい」という感覚は肌で、将来の危険を察知した若者第六感なのかもしれない。