インド関連の本、2冊

 この一週間でインド関連の本を2冊読んだ。それがなかなか面白いので、一言ここで紹介しようと思う。

『JK、インドで常識ぶっ壊される』(熊谷はるか著、河出書房)は現役の女子高生が書いた本だ。中学校3年の時に親の転勤で突然インドに行くことになり、現地のインターナショナルスクールに通うことになった普通の女子高生が、インドでの生活で、それまでのステレオタイプが壊れて、リアルなインドでの生活や風習に驚き、困惑し、そして、さまざまな経験を通して自分以外の世界に目をひらいて成長していく話だ。随筆で、今時の若者らしく「ぴえん」、「ぱおん」と感情が生々しく綴られるのだが、その表現力は豊かだ。特に貧困格差に関する後半の記述は生々しく、差し迫るものを読み手にも感じさせる。同世代の若者がここまで表現できることを大学生に知ってほしい。

 『日本でわたしも考えた』(パーラヴィ・アイヤール著、笠井亮平訳、白水社)はインド出身のジャーナリストが夫の転勤で日本に滞在していた4年間の経験を書いたものだ。流石にプロのジャーナリストの書いたものだけあって、どこの誰に取材し、それまでの資料収集についても詳しい。イギリス、中国、ベルギー、インドネシアと、学生時代からさまざまな諸都市に暮らした著者が東京での暮らしや日本文化、日本経済や政治、そして社会について光と影をしっかり伝えてくれる。日本の清潔さは勤勉さを褒められるのを読むのは心地よいが、外国人差別同和問題などのように、我々がとかくみないふりをしたり、蓋をしてしまいがちな現実にも鋭い筆を示す。しっかりとした文章であり、内容量も多いが、とにかく引き込まれてしまう。所々に、俳句が記されている。俳句への造詣が深い著者だが、日本人の我々も知らない俳句が、著者の心情を代弁しているのは、日本人以上に日本人の感性を理解している現れかもしれない。ゴールデンウィークの連休で読むことをおすすめしたい。