生徒と学生

 最近、学生でも、あるいはマスメディアでも、大学生を「生徒」と呼ぶことが多い。先ほど見たドラマでも、「。。。先生のゼミでお世話になった生徒の〜です」と言っていた。きっと多くの人にとっては不自然ではないのだろうが、大学関係者としては大いに不自然だし、そういうセリフを使って欲しくないと思うのである。

 授業でも学生自身は「生徒は」と自分たちのことを言うので、私はその時には、「君たちは生徒ではなく、学生ですよ」と言うようにしている。単に言葉尻をとって、あれこれ蘊蓄を語るジジイと思われてしまうのだが、その時には、こう言うのである。

 

 小学校では「児童」、中高では「生徒」、大学では「学生」です。生徒とは教員の教える内容をこなせばよろしい。しかし、学生は教員の教える内容にさえ疑問を持ち、自分からそれを探求する存在である。

 

 ちなみに、小学校から高校までは教員免許が必要であるが、大学の教員に免許はいらない。また小学校から高校までは学習指導要領があり、国が教える内容を決める。しかし大学に学習指導要領はない。教える内容な大学や教員に大きな裁量権がある。だからこそ、大学の講義内容は自由であり、さまざまな考え方があって、唯一無二の正解はない。したがって、それを受講する学生にも、果たしてこの内容はどういうことかと考えることが求められる。

 

 生徒と学生、同じように使うのだが、その本質には大きな違いがある。少なくとも、私はそう考える。